育成就労の入国前講習とは?入国後講習との役割分担と企業の確認事項
育成就労では、入国前に日本語などの講習を受けてもらうこともできます。一方で入国後講習との分け方や時間数が分かりにくいという声も聞かれます。
本記事では、入国前講習の定義と実施主体、入国後講習が短くなる条件を解説します。出入国在留管理庁・厚生労働省の運用要領をもとに、企業の確認事項も整理します。
結論から言うと、入国前講習は「入国前6か月以内」と「160時間(または110時間)以上」を満たすかが分かれ目です。
本記事は、2026年10月12日時点で出入国在留管理庁が公表している育成就労制度運用要領をもとにしています。分野によっては上乗せの基準があるため、分野別運用方針もあわせてご確認ください。
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講習について相談する【前提知識】育成就労の入国前講習とは
入国前講習は、受講すると入国後講習の時間数を短くできる講習です。この章では、定義・科目・実施できる機関の3点を確認します。
ポイント①入国前6か月以内に受ける座学
入国前講習とは、入国前の過去6か月以内に座学で行われる講習です(出入国在留管理庁・厚生労働省の運用要領)。
対象となる科目は、次の3つのいずれかです。
- 日本語:日本での生活や仕事に必要な日本語を学ぶ科目
- 日本での生活一般に関する知識:ごみの出し方や交通ルールなど、暮らしの知識を学ぶ科目
- 技能の修得に役立つ知識:従事する仕事の内容や心構えなどを学ぶ科目
6か月より前に受けた講習は、入国前講習の時間数に算入されません(運用要領)。
ポイント②実施できる機関は4種類
監理型の場合、入国前講習を実施できるのは次のいずれかです。
- 監理支援機関:受け入れを監理・支援する機関(単独型では受入企業自身)
- 委託先:監理支援機関などが委託した「他の適切な者」
- 外国の公的機関:外国の国や地方公共団体の機関
- 外国の教育機関:その国の正規の教育機関で、義務教育の後に入学するもの
外国の機関の講習は、監理支援機関などが「入国後講習に相当する」と認めたものに限られます。
注意点③法的保護の科目は入国後に行う
入国前講習の科目には、法的保護に関する科目が含まれていません。
法的保護の科目は、入国後講習で8時間以上の実施が必要です(運用要領)。
講師は、受入企業や監理支援機関に所属しない専門家が務める必要があります。
入国前講習は、6か月以内・座学・3科目という条件をまず押さえておきましょう。
入国後講習との役割分担|短くなる時間数の条件
入国前講習を受けると、入国後講習の総時間数が短くなる場合があります。この章では、時間数の区分と入国後に残る役割を整理します。
ポイント①入国後講習の時間数は4区分
入国後講習の総時間数は、A1相当の試験の合否と入国前講習の受講で決まります(運用要領)。
A1相当とは、日本語教育の参照枠で最も基礎の段階にあたる日本語の力です。
| 区分 | 原則 | 入国前講習を受けた場合 |
|---|---|---|
| A1相当の試験に未合格 | 320時間以上 | 160時間以上(入国前講習が160時間以上) |
| A1相当の試験に合格 | 220時間以上 | 110時間以上(入国前講習が110時間以上) |
出典は運用要領です。分野によっては、A1相当より高い水準が求められる場合があります。
ポイント②入国後講習に残る役割
入国前講習を受けても、入国後講習そのものは省略できません。
監理型では、4科目すべてを就労開始の前に終える必要があります(運用要領)。
- 入国前講習:日本語・生活一般・技能の知識を、入国前に座学で学ぶ
- 入国後講習:残りの時間数と法的保護の科目を、就労開始前に学ぶ
- 就労開始後:受入企業がA2相当を目標とする日本語講習の受講機会を設ける
入国後講習の科目や内容の詳細は、育成就労の入国後講習|時間数・内容・実施主体まとめで解説しています。
注意点③短縮には時間数と時期の両方が必要
短縮が認められるのは、入国前6か月以内に所定の時間数以上を受講した場合です。
A1相当に未合格の人の場合、入国前講習が160時間に届かないと、入国後講習は320時間以上のままです。
日本語100時間だけでは足りないため、生活一般や技能の知識の科目と組み合わせて時間数を設計します。
入国前講習は、所定の時間数に届くかどうかで入国後講習の長さが変わります。
A1相当講習と入国前講習の関係
A1相当の試験に合格していない人は、100時間以上の日本語講習が必要です。この章では、その講習を入国前に行う場合の要点を見ていきます。
ポイント①未合格ならA1相当講習が必須
認定申請の時点でA1相当の合格を証明できない場合、A1相当講習を100時間以上受講する必要があります(運用要領)。
A1相当講習は、認定日本語教育機関の「就労のための課程」による講習が基本です。
認定日本語教育機関とは、文部科学大臣の認定を受けた日本語教育機関のことです。
ポイント②A1相当講習は入国前にも行える
運用要領では、A1相当講習を入国前講習で行うことも認められています。
当分の間の経過措置として、登録日本語教員(文部科学大臣の登録を受けた教員)による講習も可能です。
その場合は、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 目標:A1相当(分野でより高い水準があれば、その水準)
- 時間:100時間以上
- 人数:教員1人に対し、同時に受講する生徒は20人以下
- オンラインの場合:インターネット環境を整え、同時かつ双方向で行う
認定日本語教育機関の課程は、特別の日本語教育課程として行えば全部を対面以外で受講できます。
注意点③合否の確認時期
A1相当の合否は、育成就労計画の認定申請時点で確認されます(運用要領)。
認定後から入国までに合格すれば、入国後のA1相当講習は不要です。この場合は、外国人育成就労機構へ軽微変更届出書を出します。
一方、入国後講習の途中で合格しても220時間の区分にはなりません。
日本語の要件全体は、育成就労の日本語要件|A1・A2相当とは何かを解説もあわせてご覧ください。
A1相当講習は入国前に実施することも選べるため、合否の見通しと合わせて計画しましょう。
企業・監理支援機関が確認したい4つの事項
入国前講習を活用するには、計画・時期・費用・記録の4点を事前に確認しておくことが大切です。
手順①育成就労計画に講習を記載する
育成就労計画の認定申請は、原則として申請以後6か月以内に育成就労を始めるものが対象です。ただし、施行日前申請は原則として開始予定日の7か月前から5か月前までに行います。
申請時に入国前講習が未了でも、入国までに終える見込みなら受講した前提で計画できます。
ただし入国時に時間数が足りなければ、所定の時間数を満たすよう入国後講習を行う必要があります。
手順②入国日から逆算して時期を決める
入国前講習として数えられるのは、入国前の過去6か月以内に受けた分だけです。
入国の時期がずれる可能性も考え、受講の開始時期に余裕を持たせると安心です。
手順③講習費用を本人に負担させない
監理支援費には、入国前講習と入国後講習の費用である「講習費」が含まれます(運用要領)。
監理支援費は、直接にも間接にも育成就労外国人に負担させてはなりません。
たとえば、本人が送出機関へ払う手数料が監理支援機関に流れているケースは、監理支援機関が本人から手数料を取るのと変わりません。
送出機関(現地で人材を送り出す機関)との契約も、費用の流れが分かる形で確認しておきましょう。
手順④受講記録と証明書類を保管する
外国の公的機関や教育機関が実施した場合は、所定の科目を履修したことを証する文書が確認対象です。
A1相当講習を終えたら、受講証明書などを入国前講習実施記録とともに保管します(運用要領)。
保管するのは受入企業または監理支援機関です。どちらが何を持つかを事前に決めておくと、確認の際に慌てずに済みます。
入国前講習は、計画・時期・費用・記録をそろえて準備を進めましょう。
よくある質問
入国前講習は必ず受けなければいけませんか?
運用要領の規定上、入国前講習は必須ではありません。受講すると、入国後講習の総時間数を短くできる仕組みです。
受講しない場合は、入国後講習を320時間以上行います。A1相当の合格を証明できる場合は220時間以上です。
入国前講習で法的保護の科目を行えますか?
行えません。入国前講習の科目は日本語・生活一般・技能の知識の3つです。
法的保護の科目は、入国後講習で8時間以上行う必要があります。
7か月前に受けた講習も時間数に数えられますか?
数えられません。入国前の過去6か月以内に受けた講習だけが入国前講習として算入されます。
入国日がずれる可能性も考え、受講時期は余裕を持って決めておくと安心です。
A1相当講習を入国前にオンラインで受けられますか?
条件を満たせば受けられます。登録日本語教員による講習は、同時かつ双方向で行う必要があります。
認定日本語教育機関の特別の課程なら、全部を対面以外で受講することも可能です。
入国前講習の費用は誰が負担しますか?
監理型では、講習費を本人に負担させることはできません。監理支援費は直接にも間接にも本人に負担させてはならないためです。
本人が送出機関へ払う手数料が監理支援機関に流れる形も、認められません(運用要領)。
この記事のまとめ
入国前講習は、入国前6か月以内に座学で行う日本語・生活一般・技能の知識の講習です。所定の時間数を満たすと、入国後講習を短くできます。
ただし、合う進め方は、日本語の習熟度や入国の時期、分野の基準によって異なります。
入国前と入国後の講習の組み立てに迷う場合は、以下よりお気軽にご相談ください。
- 入国前講習は、入国前6か月以内に座学で行う日本語・生活一般・技能の知識の講習
- 入国前講習が160時間以上(A1相当の合格者は110時間以上)なら入国後講習が短くなる
- 法的保護の科目は入国前講習に含まれず、入国後講習で8時間以上行う
- A1相当講習(100時間以上)は入国前講習の中で行うこともできる
- 講習費は本人に負担させず、送出機関経由で監理支援機関に流れる支払いも認められない
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※本記事は 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度運用要領」第4章(育成就労計画の認定等)・出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領」掲載ページ・出入国在留管理庁 等の公開情報をもとに、特定技能サプリ編集部(株式会社AIサプリ)が作成しています。制度や試験の最新の要項・日程・料金は、必ず各実施機関の公式情報をご確認ください。